星槎道都大学の卒業生で、元SEISAーBOCスポーツ奨学生のタンディン・ワンチュク氏が、南アジア屈指の強豪が集う「ネパール・オープン柔道選手権」に出場し、男子73kg級で見事銅メダルを獲得しました。現役を引退し、現在は指導者として活動しているタンディン氏にとって、今回の出場は再び畳に立ち、自身の柔道を見つめ直す貴重な機会となりました。

タンディン氏は、ブータンオリンピック委員会のエリート選手育成プログラム「BEAST」からの引退後、若手育成に尽力。現在は同級生と共に「Tri Force Judo Club」を運営し、未来の柔道家たちの育成環境づくりに取り組んでいます。それでも今回は、自らの限界に挑み、国際的な柔道の潮流を肌で感じるため、ネパール遠征を決意。10kgの減量と、32時間におよぶ陸路移動という過酷な準備を乗り越え、旧友であるガワン・ナムゲル氏、キンレイ・ツェリン氏、ビカシュ・タマン氏らともに、技術と戦術を徹底的に磨き上げました。

◾️ 試合結果ハイライト ◾️
・1回戦:ネパール陸軍柔道クラブの選手に対し、得意の内股で一本勝ち
・2回戦:ネパール人選手に対し、再び一本勝ち
・準決勝:南アジア競技大会のメダリストのキラン選手(ネパール)と延長(ゴールデンスコア)を含む8分間の激闘の末、惜しくも技ありで敗退
・敗者復活戦:ヨーロッパ選手権の経験を持つオランダの選手に対し、開始1分以内で抑え込み一本勝ち
・3位決定戦:ネパール陸軍の選手を相手に、戦略的な抑え込みを決め、銅メダルを獲得

今大会では、多様な国際スタイルの選手たちとの対戦を通じて、柔道の奥深さと戦術の重要性を再認識しました。タンディン氏は、「日本柔道に根差した“魂の柔道”がネパールの人々に評価されたことが何より嬉しかった」と語り、「柔道は勝敗だけでなく、忍耐力や戦略的思考を育む武道。今回学んだことを、これからの選手たちに伝えていきたい」と話しました。

柔道が国境を超えて人と人とをつなぐスポーツであることを改めて実感した今回の遠征。タンディン氏は「ネパール柔道とその支援者のおかげで、我々のブータン柔道も成長している」と感謝の言葉を述べました。

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